私を喰べたい、ひとでなし
幼い頃、両親と兄を亡くし、心が深い海に沈んだままの様な空虚な日々を過ごしていた八百歳比名子(やおとせ ひなこ)は、悲しい記憶を思い起こさせる夏が早く終わることを望んでいた。 そんなある日の下校時、居残りになった唯一の親友・社美胡(やしろ みこ)を待つ間、不意に海の匂いと少女の気配を感じる。上履きのまま誘われるように海へと向かうと、海の中から人ならざる者が姿を表し海中に引きずり込まれてしまう。恐怖は感じず、これで家族の元にいけると目を閉じたところで人魚の少女・近江汐莉(おうみ しおり)に救われる。 比名子の持つ血肉は数多の妖怪を惹きつけるほど特別に美味しいと語る汐莉。そして比名子が成熟し、最高の状態を迎えるまで守り“いずれ自分が喰べる”と約束する。 比名子の胸には 「このひとなら私の願いを叶えられるかもしれない」 という切なる想いが浮かび―。 伊予市をモデル地とした海辺の街で綴られる、死を望む少女・比名子と、その血肉を求める人魚・汐莉。2人の出会いから始まる、美しくも切ない物語。… Read More
